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獅子吼(ししく)とは                                 平成21年5月9日

獅子吼ししく)とは
広辞苑を繰ると、
①(仏)仏が説法するのを、獅子が吼えて百獣を恐れさせる威力にたとえていう語。真理・正道を説いて発揚すること。
② 大いに熱弁をふるうこと。
   ― とありました。
 大変おこがましいのですが、少しでもあやかりたいとブログのタイトルを「工藤篤 獅子吼ノート」としました。

# by atsushi-kudou | 2009-05-09 22:11 | 獅子吼(ししく)とは  

前 函 館 市 長 が 名 誉 毀 損 の 訴 え  それほどまでの怒りの衝動!     平成20年4月11日

 「人間は何かの衝動があって動き出すんだ。それが、怒りである場合は少なくない」
 「いいか? ひとつ言っておく。誰だって感情に流される。行動の流れを決めるのは感情だ。その行動にどれだけ多くの人が共感するかということだ。感情自体に善悪の価値はない。人の共感が善悪を判断するんだ」(「逆風の街」著者:今野 敏)

 前函館市長の井上博司氏が現市長の西尾正範氏を名誉毀損で函館地方裁判所に提訴してからもう1ヵ月が経過したが、その報道に触れたとき、昨年の早い時期にそういう選択肢もある、と事情通の方から聞いたことがあったので驚天動地というほどには驚かなかった。
 しかし、筆者の知る得る範囲での井上氏の性格からして裁判沙汰にまではするまい、と思っていただけに、思わず冒頭のフレーズが浮かんだのだ。
 行動を起す源が怒りの衝動、とするならば、それほどまでに井上氏の怒りが大きかったことになる。むしろ、そのことに想いを致したのだ。

 訴状の中の「請求の趣旨」で、北海道新聞及び函館新聞に謝罪広告を掲載せよ、と求めているが、その謝罪広告を要約すると、西尾氏が
① 有料老人ホーム計画について、井上市長(当時)がブラックジャーナリズムと癒着し、
 (許可の)再検討を指示したなどと記者会見したが、そのような事実はなく、何らの根
 拠もなかった。そのため、井上氏の名誉・信用を著しく失墜させた。
② 市長選の際、井上氏を「悪代官」と呼称して選挙運動をしたが、その表現において井
 上氏の名誉・信用を著しく失墜させた。
 (これらから)井上氏に多大な迷惑をおかけしたので、深く陳謝の意を表する。
 ・・・、というようなものである。

 確かに、請求の趣旨の最初に1千万円の損害賠償額が記載されているが、これは名誉毀損裁判の形式上必要なことで、井上氏の本意は「謝罪広告」の内容にあるものと思われる。
 いわんや、一部でとりざたされる選挙のやり直しが非現実的なことは、百も承知のことであり(このようなことを言うこと、書くこと自体、贔屓の引き倒しになっているのに気がついてほしいものだが)、訴状を一読した限りでは一切触れられていない。

 今回の提訴、選挙で破れた前職が現職市長を提訴するというのは全国的にも異例。しかも、「選挙戦における言論の自由について司法の判断を求める」という面もあるだけに、ほとんど前例がないという。それだけに、今後の推移も含め全国的にも注目を集めることになりそうだが、これらから何をいまさらとか、いつまでも過去を引きずってとか、前市長が函館市政の邪魔をしている等々の批判も多いようだ。

 井上氏とてそれらの批判を予想しなかったはずがないと思う。とりわけ、行政の継続性という面において、前市長として現函館市政に少なからず責任がある、という点において心のせめぎ合いがあったことは想像に難くない。
 でも、それらを押して今回の提訴に踏み切った井上氏の心中を理解できるような気がする。筆者自身も全く事実に反することを流布された経験をもっているが故にである。

 いずれにしても、以前述べたように、「(両氏と)仕事上のお付き合いがあったので一方に与するということにはならないし、そのつもりもない。」との考え方は今も変わらないが、巷間言われているブラックジャーナリズムや議長(当時)の介入等は横において、有料老人ホーム建設にかかる再検討の指示の有無については、そのこと自体が結果を左右したわけではなく、後でも先でも市長、助役を交えて話し合えばすんだことではなかったのか、と思う。
 どうしてもそこに合点がいかないものを感ずるので、これまで表面にでてこなかった別な確執があったのではないかと思わざるを得なくなってきた。

 さて、この訴状で井上氏が勝てるわけがない、と断言される方もいるようだが、そんなに簡単に言えるものなのだろうか。
 名誉毀損訴訟では、原告が「ある事実で名誉を毀損された」と訴えるだけで受理され、被告は「それは名誉毀損ではない」と立証しなければ負けるという。
 もっとも、政治・行政上の争い事は原則として名誉毀損罪に当たらない、との主張もあるようで、それらを以って門前払い、あるいは判断回避ということも考えられないわけで
はないが、前記の通りだとすれば、恐らくは結審まで1年は要するのではないか。一審の結果次第では、控訴審ということも考えられる。

 いくら、西尾氏個人の裁判だとしても、時間・労力等々、相当のエネルギーが費やされる。西尾氏が市長という激職にあることを思えば、市政運営に何らかの支障が生じないともいえず、函館市民にとっては他人事ではない。
 事ここに至るまで、何とか和解の道がなかったのか、残念でならない。

# by atsushi-kudou | 2008-04-11 00:03 | 素浪人ひとりごと  

昆 布 の 種 類 と 特 徴   品質だけでない戦略性を!           平成20年4月4日 

前号で促成昆布の間引き作業のことをとりあげたが、たまたま北海道新聞にキ
ッコーマン真昆布醤油の広告欄が掲載されていたので、その文章の一部をご紹介したい。

 ― 北海道は国産昆布の9割以上を生産する昆布王国です。その昆布王国で、
  昆布の仲間を代表する真の昆布という学名がついているのが昆布の王様、
  真昆布(マコンブ)です。
   真昆布の産地は、北からの親潮(寒流)と南からの黒潮(暖流)が混じ
  り合うなど、昆布の生育に最適な道南地区の沿岸です。幅が広くて身が厚
  く、澄んだ上品な味わいのだしがとれ、プロの調理人がもっとも愛用する
  昆布の最高級品といわれています。―

 一方、「道新ポケットブック 2007年10月号- 知る、食べる、昆布-」という小冊子に、
昆布の種類と特徴が載っていた。それぞれ項目ごとに対比できるように表にしたものを末
尾に掲載したので、ご覧いただきたいが、それによると、
 ①真昆布は、最上級品
 ②羅臼昆布は、マコンブと同等の最上級品
 ③利尻昆布は、マコンブに次ぐ上級品
― というランク付けがされている。
 監修が、北海道大学 大学院水産科学研究院 水産学博士 海藻学 安井肇氏であることか
ら、当然アカデミックなものと思われるので、冒頭のキッコーマンの宣伝文句は裏付けさ
れたことになる。

 真の昆布、真昆布。昆布の王様、真昆布。
 この真昆布の多くが、函館市と合併した旧4町村沿岸に分布している。生育地先によっ
て、白口浜(南茅部)、黒口浜(恵山、椴法華)、本場折り(戸井)というように区分さ
れ、それらの地帯を品質の高さから「道南3銘柄」地帯と呼ぶとのこと。(筆者は初めて
知ったが、他に、場違折(ばちがいおり)という種類があるらしい。だしには不向きで主に
加工用に使われるということだが)
 品質的、価格的には白口浜、黒口浜、本場折の順になるが、南茅部の白口浜真昆布はか
つて昭和天皇北海道行幸の際、献納品として上納されたことから「献上昆布」として知ら
れるようになったのはご承知のとおり。

 乾燥した昆布の切り口の断面が白いのが「白口浜」、黒いのが「黒口浜」というのが由
来とのことだが、白口浜の方が黒口浜より甘み成分のマンニットが多く含まれていること
から、品質的に上位に位置付けられるとのことを聞いた覚えがある。
 筆者は恵山地域に住んでいるので、どうしても黒口浜真昆布に思い入れがある。もちろ
ん、品質的に白口浜真昆布に敵うべきがないのは承知しているが、極端に見劣りしている
わけではないはず。
 ところが、函館駅前朝市や自由市場、また土産屋さんなどの店頭には「利尻昆布」「日
高昆布」と並んで「白口浜真昆布」は見られるが、「黒口浜真昆布」はいくら探してもな
いのだ。辛うじて「道南産真昆布」の名称が見られ、恐らくそれが「黒口浜真昆布」なの
だろうが、産地を特定する表記でないのは非常に残念。利尻昆布等の後塵を拝するはずの
ない品質を持っているのにである。

 たまたま自由市場で、前述の「利尻昆布」「日高昆布」「南茅部産(白口浜)真昆布」の
うち、売れ筋は「日高昆布」とのことをうかがったが、日高昆布はそもそもは三石昆布と
いうのを、時間をかけて「日高昆布」のネーミングを広め、ブランド商品として定着させ
たと聞いている。
 三石昆布は、当地でも生産されているが、店頭の日高昆布と比較しても遜色ない。道新
ポケットブックには家庭用だし、昆布巻き、煮物、おでん用と紹介されているが、わが家
ではほとんど使ったことがない。だしはもちろん、昆布巻き、煮物、おでん等も真昆布を
優先して使う。長年継承してきた味覚は正直だからである。

「昆布の王様、真昆布」を地場特産品として有する函館市内の店頭で「利尻昆布」や「日
高昆布」が幅を利かせている現状は、市場や消費者、観光客へのアプローチが弱いせいか
も知れない。品質だけでない戦略性が求められているのではないか。

# by atsushi-kudou | 2008-04-04 20:31 | 素浪人ひとりごと  

早 春 の 風 物 詩  養殖昆布間引き作業真っ盛り                   平成20年3月31日

 函館市湯の川から東海岸、通称下海岸線に入って海に目を転ずると、すぐ沖合いに船外機船が点在しているのが見える。
 合併した旧4町村(戸井町、恵山町、椴法華村、南茅部町)の早春の風物詩、養殖昆布の間引き作業の光景である。

 コンクリートブロックを沈め、そこから立ち上げる幹綱に、フロート(浮き玉)で適切な水深をとったロープをはり、前年の夏から2カ月ほど陸上施設で養生した昆布の種苗を10月末から11月上旬にかけて20センチ位の間隔で植えつけるのであるが、その生長した昆布を適度な本数(真昆布で5~6本程度)に間引きする作業を行っているのである。
 水温が一番低い時期で大変辛い作業だが、肉厚な製品にするためには、避けて通れない。

 養殖昆布は、正しくは促成昆布というのだそうだ。
 天然昆布は冬に発芽し、翌年の夏に2年生昆布として採取するのが一般的だが、養殖昆布は8月末頃母藻(天然昆布)から採苗し、前述したように2カ月ほど陸上施設で人工的に生長を促した種苗を海中のロープに植え付けたものなので、海の中で育つことは天然昆布と同じである。

 ただ、天然昆布は2年で製品化するのが一般的だが、養殖昆布は1年で製品化するので、促成昆布というわけなのだろう。(以下、促成昆布という)以前、品質の違いはあるのでしょうか、と水産試験場に問い合わせた時、基本的には変わらないが、甘み成分のマンニットが天然昆布の方が多い、ということだった。やはり、
そのまま食してみると天然昆布の方が甘く、促成昆布はしょっぱい。

 天然昆布は2年生なので、生産量に変動があることが多いが、促成昆布の生産量は比較的安定しており、今日では生産量自体天然昆布を凌駕している。むしろ、昆布と言えば、促成昆布なのだと考えても不自然ではない時代になっているのかも知れない。
 わが家でも、ダシコンブはほとんど促成昆布を使っている。

# by atsushi-kudou | 2008-03-31 00:10 | 素浪人ひとりごと  

何 を も た ら し た の か ? 有料老人ホーム問題!             平成20年2月29日

開催前から擦った揉んだしていた函館市議会の「有料老人ホーム問題調査特別委員会」
(以下「特別委員会」という)の調査結果が27日の定例会本会議で黒島委員長から報告
されたとのこと。

 北海道新聞に、
― 調査の最大の焦点となったのは、法的に原則認められない有料老人ホーム計画に関し
 て井上博司前市長が「再検討を部下に指示した」と西尾正範市長(元助役)が指摘した、
 2006年7月20日の市長室でのやりとり。井上氏からの再検討指示の有無について、
 市側の答弁は「明確な言葉での指示ではなかった。指示とも投げかけとも取れる表現だ
 った」とし、当初の「指示はなかった」から変わった。
  また、有料老人ホームを計画していたH社の要求について市側は「不当な要求があっ
 た際に報告する庁内の取り決めに該当する状況だった」と答弁。業者側の市への働きか
 けの強さをうかがわせた。 ―
 との記事が掲載され、

 さらに<解説>では、
― 問題の発端となった2006年7月20日の市長室でのやりとりに関して、焦点の前
 市長による「再検討の指示」があったかどうかの真相は明確にはならなかった。「指示
 とも投げかけともいずれとも取れる表現だった」との市側答弁からは、むしろ白黒をつ
 けられない、あいまいなものだった印象も強まった。 ―
 と触れていた。

 昨年の10月から計8回開かれた特別委員会での実質審議は1月に入ってからの3回だ
け、それも参考人招致はせず調査対象は行政(市)側のみに止まったのだから、こういう
結果も宣(うべ)なるかなと思わざるを得ない。もっとも傍からは泰山鳴動して鼠一匹の
類と言われても致し方ないのだろう。

 しかし今になってみると、そもそも議会関係者を一方の当事者として、真相解明やら自
浄作用などを求めても詮無いことなのかも知れない、と思うようになった。2月7日の北
海道新聞に、公平な調査のため、参考人招致は全会一致で決めると申し合わせているので、
会派間の意見一致を見なかったから断念したという記事を見たからではあるが・・・。
 そういう意味では、千万人といえども吾往かんと自治法の制限等も何のその闇雲に特別
委員会に参入した強引な手法に脱帽、さすがに老練議員。

 老練と言えば、特別委員会委員長の黒島宇吉郎氏。7月議会での口汚い新市長攻撃で、
議事録からの発言削除の議員提案がなされたいわくつきの人物と断定し、こういう人物を
委員長に据えて公平な委員会運営ができるのか、という見方に対し、筆者は、内外で注目
されている特別委員会をわたくし的思惑や怨念でどうこうするとは思いたくない。長年に
亙る議員歴等に鑑み、委員長としての手腕を期待すると敢えて論調を張ったが、結果を見
れば・・・。

 さて、是非は別にして議会での一定の調査が終わったことになる今回の有料老人ホーム
問題によって、何がもたらされ、どうなっていったのか、少し触れてみたい。

 まず第一に、もしブラックジャーナルと言われる情報誌が西尾正範助役を誹謗中傷する
記事を執拗に掲載しなかったら、西尾助役の年末の退職はなく、消化試合と思われた市長
選が突如暗雲漂う事態になっていくことにはならなかったはず。
 マッチポンプならず、マッチマッチ(?)でないのかな、と思われるほどの情報誌によ
るまさしく執拗で陰湿な誹謗中傷、しかも品位の欠片もない記事が「一寸の虫にも五分の
魂」というか、西尾氏の心に火を点けてしまい、そういう情報誌の闊歩を許す市役所の体
質に嫌気がさし、むしろ市役所外での戦いに活路を見い出すという想定外の行動になって
いく。
 ところが、そういう西尾氏を情報誌主宰者らは見くびっていた。(西尾氏自身、当初か
ら市長選を展望していたのかどうかは見解の分かれるところ。筆者は、そういう流れの中
での帰結として市長選に担ぎ出されたものと見る)

 事態は動くのである。
「閉塞感と変化を求めた市民の心を揺さぶり、この際現職以外ならだれでもよいとの流れ
をつくることとなり」云々とは、選挙後の7月議会での福島恭二議員の一般質問での言葉
だが、当初は、組織力と知名度の開きに高を括って、西尾憎しで書きたてる情報誌主宰者
の真意が現職擁護に映り、あまりに品位なき文面にそれまで眉をひそめるだけであった市
民が、判官びいきも相俟って草の根、勝手連式に西尾支援に回り、なだれ現象を起してい
く、そんな構図になっていったのではなかろうか。
 確かに、西尾陣営はケンカ上手であった。
「悪代官、悪徳商人、やくざの親分」に加え、情報紙主宰者を「瓦版」にたとえ大向うを
うならしたあたりは、演出プロデューサーの勝利と言っていいだろう。(もっとも、出演
承諾をしていないのに勝手に名前をつかった怨念を未だ引きずってはいるのだが・・・)

 福島恭二議長(当時)同席の下、「再検討を部下に指示した」といわれる市長室でのや
りとり、が大きな焦点になっているが、筆者の体験では議長のみならず議員等から頼まれ
た案件については、たとえ端から無理だと承知していても、一応検討はする(ポーズはと
る)ものと認識している。
 したがって、担当者を呼んでの聞き取りや指示(に近いこと)をすることもあるが、こ
れは外部に対しての処世術と言えなくもない。そんなことくらい、許されていいのではな
いだろうか。事実、井上市長は事の是非は承知しており、ごり押しなどしなかったのであ
る。
 筆者は、むしろ市長・助役・担当部長・次長等の関係者が一堂に会しての打ち合わせが
なかったことに、不自然さを覚える。あったとしたら、このような齟齬は起こらなかった
だろうし、なかった、としたら、両者のパイプが詰まっていたことになる。それは、市民
にとって不幸なことであって、その責めは両者ともに負わなければならない。

 もう一点、昨年の3月7日の小野沢猛史議員の「井上市長が問題の発端だと思っていな
い」という一般質問が今でも耳に残っている。
 行政への過度な要請、介入、押し付けが議員活動という名目でなされ、そういう流れの
中で起きてきたことだったのではないかということである。市(職員)は、議員に対して
周囲が思う以上に過度な反応をしがちなのだ。
 幸い、北海道新聞には、黒島委員長が「信頼される議会を目指すとともに、より公正で
適正な行政執行のため、理事者とともに取り組んでいくべきだと確認した」と結んだとあ
ったが、これを契機に一層真摯に市民の負託に応えてほしいものだ。
 おそらく井上博司前市長が一番望んでいることだと思う。

# by atsushi-kudou | 2008-02-29 19:24 | 素浪人ひとりごと